126: ◆CItYBDS.l2[saga]
2017/12/24(日) 14:54:27.11 ID:zYlpnfp/0
遊び人が不意に見せた言葉に、商人の目が新しいイタズラを思いついた子供のように怪しく光った
その怪しい光は、線となってその意図と共に賢者、そして騎士の目に届いた
「遊び人ちゃんの本心を引き出してみようぜ」
賢者が「やれやれ」と言わんばかりにため息をついたところで、一際大きな声を商人があげた
商人「この遺体、焼き払っちゃいましょうゼ」
賢者「隠蔽しちゃうってことですか、気が進みませんねエ」
商人「そうか?俺たちで事件を握り込むのは初めてじゃないだろ、今なら事が大きくなる前に揉み消せル」
遊び人「この遺体の事、大臣や議会・・・いやこの国の国民全てから隠匿するということですか?」
商人「そうなるナ」
賢者「王側は私たちの行いを高く評価してくれるでしょうね、大臣に捨てられたとしても将来は安泰でス」
騎士「いやいや、言葉が悪いよ賢者クン!それじゃあ、まるで私たちが保身に走っているようではないか!」
騎士「私たちは勇者課、仮にも勇者の名を冠する者たち。国民たちの事を思えばこそ王側につくのが正義に違いなイ!」
遊び人「陛下側につくということですの・・・?」
商人「まあ、結果的にはそうなるな」
遊び人は、違和感を覚えていた
三人の言葉を額面通りに受け取れば、彼らは陛下の味方になってくれるように見て取れる
しかし、どこか芝居がかったその口ぶりから感じられるものを一言で表すならば
「マゾヒストの挑発」
自らを縄で縛り上げ、三角木馬の上に三人がかりで跨り、振り降ろされる鞭を待っているようなそれに
上流階級で育った身として、できれば目を背けスルーしてしまいたかったが
酒が回ったせいだろうか、はたまた生来のS気質がそれを許さなかったのか
遊び人は、彼らの挑発に抗うことが出来なかった
遊び人「まったく、呆れた人たちですわ!私が、陛下可愛さにその下卑た動機を見逃すとでも思っているのですか!」
待ってましたとばかりに、騎士の顔が綻ぶ
遊び人「なんとも汚い男たち!乗って差し上げます!あなた方は間違っています!」
遊び人の振り上げられた右手には、どこから取り出されたものか既に空のビンが3本握られていた
その空ビンのラベルを、賢者だけが涼やかな目で読み取っていた
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