【FGO】マシュ「協会からの、査察……ですか?」【レンタルマギカ】
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4:名無しNIPPER
2017/11/05(日) 16:42:38.70 ID:lKXwV95n0
「"王の魔術"と言えば悪魔を派手に喚起・使役することを思い浮かべるだろうが、それは一側面に過ぎない」

 これは、ある日の話。
 諸葛孔明――少年に対し講義をする今は「ロード・エルメロイU世」と言った方が正しいか。
 人理焼却を企むのが、魔神と、それらを封印した王を名乗る者であると判明してから、注釈程度に彼は語った。

「かつて彼の王が振るったのは、俗な悪魔と言う分かりやすいカタチではなく、
 用途別に生み出された72の術式だという話はドクターから聞いたな?」

「あー、聞いたような」

「世間一般で悪魔と称されたそれらは、本来は神殿にて崇拝された諸地域の神々であったとされる。
 術式として体系化する際に、変質したんだろうと予測できるが……。
 マスター、72柱の魔神について記された魔導書の名を知っているかな?」

「えっと……ゲームか何かで聞いた、待って……あ、そうだ〈ゲーティア〉だ!バルバトス!ゲーティア!」

「私も初見でとんでもない名前だと思わず突っ込んだ記憶があるが……ひとまずはそれで正解だ」

「ひとまず?」

「72柱の魔神について納められたのがゲーティア。しかし、これは全五部からなる魔導書"レメゲトン"の一冊に過ぎない。
 レメゲトンの内、ゲーティアのほかには天使など善なる精霊について書かれたものや、黄道十二宮について記されたものがある。
 あるいは、魔神を支配する惑星から力を汲み取って行使する護符魔術などもな。
 それらすべての術を含めて、「王の魔術」と称するのが本来は正しいのだがね」

「魔術王の名前は伊達じゃないってことか……」

「彼の王が残した多くの書物により、体系化された魔術が生まれた……もっとも、現代に伝わるソレと原典には大きな隔たりがある。

 ――改めて問うぞ、マスター。ここまで踏まえたうえで、大英図書館にも保存されている魔導書であるゲーティアを執筆したのは誰か?」

「? ソロモン王じゃないのか?」

「原典はな。少々意地の悪い問いかけだったが、王が執筆したとされるゲーティアは現代には存在しない。
 あれば、それこそ宝具クラスだろうな。大英図書館に代わりにあるのは、
 彼の王に迫ろうとした魔術師向けに"翻訳"されたものだ。そこには省略と最適化が含まれていて当然だ。
 悪魔の印章も、英語やラテン語が含まれていることからもわかる通り、"翻訳"された時代向けにアレンジされたものだろう」

「あー、そっくりそのまま言葉のニュアンスが伝えるわけないよな。洋画とかでも地の利を得たりネビュラ星雲するわけだし」

「もっとマシな例があるだろ。……ともかく、王の血を継いだ家系などは原典に近い知識を持っているだろうが、
 それでも欠落は避けられない。有名どころではメイザース家だな。そのまま〈ゲーティア〉の名で魔術結社をまとめている。
 表向きに有名な血筋のものだと、サミュエル・リドル・メイザース。分かりやすく言えばマグレガ−・メイザースか。
 レメゲトンを翻訳した一人だが……その辺は、ブラヴァツキー夫人の方がよく知っているだろうな」

「……へー」

「……ついてきてるかね?」

「なんとか。学校の勉強よりは面白いんで」

 もっとも、この時は、少年は知る由も無かった。
 人理焼却を企む敵の首魁が、まさか"そのもの"だったなんて。


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