神谷奈緒「マーキング」
1- 20
30:名無しNIPPER[saga]
2017/11/16(木) 23:06:03.82 ID:OJo9ffcO0
最後に『君には期待をしている』と、言った後にTは奈緒の側から離れていった。


遠くに離れていくその背中を、奈緒は呆然としながら見送る。何かを考える余裕は今の彼女には無かった。


「アイドル……か」


ぼそりとそう呟いてから、奈緒は貰った名刺に再び目を落とす。


それからため息を吐いた後、本日二度目となる言葉を口にした。


「……はぁ、どうしよう。どうしたら、いいんだろう」


そんな問い掛けを投げ掛けた所で、答えは誰からも返っては来ない。


道行く人々は皆、自分の行き先に向かって歩き、そしてどこかに消えていく。


奈緒が求める答えを告げようとする者など、どこにだっていなかった。


「この人の事、本当に信用してもいいのかなぁ。はぁ……全然分からないや」


唐突に降って湧いた問題に対し、頭を抱えて奈緒は悩む。出口の無い迷宮を彷徨うが如く、延々と悩み続けるのであった。


それから数週間後。ようやく答えを出し、決意を固めた奈緒はCGプロダクションの事務所を訪れ、Tと再開する。


そして彼に対して歯切れ悪くもこう告げるのだった。


「べ、別にアイドルには興味は無いけど、せっかくだからなってやってもいいよ」


これが奈緒とT、二人の初めての出会い。まだ複雑な関係に発展する事も無く、真っ新で穢れも無い状態。


この時の関係に戻れたのなら、彼はどれ程に幸せなのだろうか。彼女はどれ程に不幸せなのだろうか。


結末を知らないからこそ、二人は突き進んでしまう。希望では無く、絶望のゴールに向かって真っ直ぐと。


その先に希望や夢の詰まった未来を信じ、それを願って歩いていくのだった。





<<前のレス[*]次のレス[#]>>
63Res/47.03 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice