6: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/10/31(火) 22:28:46.88 ID:sIBhOQZK0
そしてライブの幕は上がる。
みんなで円陣を組んで、ブーってブザーが鳴って、暗い袖からピカピカ輝くステージに飛び出してく。
7: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/10/31(火) 22:30:42.14 ID:sIBhOQZK0
それぞれのソロに移って、桃子は出番をモニターの前で待つ。
トントンと肩を叩かれて振り向くと、お兄ちゃんが飲み物を持って来てくれたみたい。
8: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/10/31(火) 22:33:26.76 ID:sIBhOQZK0
曲は『ココロがかえる場所』。ユニットの曲だからソロで歌うのは初めて。
ひとつひとつのフレーズに心を込める。ステージにいるはずなのに、目の前にはたくさんの風景が浮かぶ。
9: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/10/31(火) 22:35:03.03 ID:sIBhOQZK0
歌いきると、たくさんの拍手が桃子を包んでくれた。それにお礼を言って袖に戻る。
袖ではお兄ちゃんが待っててくれた。『いつもの笑顔』で。
10: ◆NdBxVzEDf6[sage]
2017/10/31(火) 22:36:13.21 ID:Oxwl6WE40
すでに悲しい
周防桃子(11)Vi/Fa
i.imgur.com
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11: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/10/31(火) 22:37:09.06 ID:sIBhOQZK0
ライブの後、お兄ちゃんに車で家まで送ってもらう。いつもの距離、いつものようになんでもない会話をする。
何千回、何万回って交わしてきた言葉。きっと下手な演技じゃバレちゃうから、桃子の役者生命を全部かけて必死に演技をする。何でもない、明日には忘れちゃうような言葉をやり取りする。
12: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/10/31(火) 22:38:28.59 ID:sIBhOQZK0
桃子の部屋まで走ってベッドの中に潜り込む。毛布を口に当てて、誰にも聞かれないように思いっきり叫ぶ。
桃子「ばか!!!!!!お兄ちゃんのばか!!!!!!何で気づいてくれないの!!!???何で何で何で!!!!!」
13: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/10/31(火) 22:39:43.54 ID:sIBhOQZK0
わーって叫んで泣いて、一通りそれをやるといつのまにか眠ってた。朝日が眩しくて、目を擦る。
ハッとしてスマートフォンを取る。発信履歴を見ると、いちばんに出てくるはずの名前は消えていた。
14: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/10/31(火) 22:40:53.67 ID:sIBhOQZK0
シアターに行く。
見慣れたデスクの上はまっさらで、初めからそこに座ってた人なんていないみたいだった。
15: ◆uYNNmHkuwIgM[saga sage]
2017/10/31(火) 22:43:38.87 ID:sIBhOQZK0
桃子は大丈夫だよ。お兄ちゃんはここにはいないけど、桃子には仲間がいるもん。平気だよ。心配しないで。
お兄ちゃんこそしっかりしてね。身だしなみをきちんと確認して、変な仕事とってくるのは控えてね。
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