武内P「また、捕まってしまいました」
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58:名無しNIPPER[sage saga]
2018/10/27(土) 21:50:44.49 ID:tpe1QzXHo

「……」


 シンデレラプロジェクトのプロデュースをして、一年。
 この一年は、本当に色々な事があった。
 そう……本当に、色々な事が。


「……」


 オーディションとスカウトで集められたメンバー。
 誰もが個性的で、それぞれ、全く違う輝きを放つアイドル達。
 その、眩い光に照らされて、私にも変化があった。
 貴女達に変えられてしまった、と言ったら、彼女達はどんな表情をするだろうか。


「……」


 やはり、笑顔だろう。
 14人が、別々の想いを込めた笑顔を向けてくるに違いない。
 私は、プロデューサーだ。
 アイドルの方にプロデュースされてしまうとは、とんだ笑い話だと、そう、思う。


「……」


 デスクの上の資料ファイルに指を滑らせる。
 タイトルは『シンデレラプロジェクト』。
 この中には、この一年の、彼女達が歩いてきた軌跡が詰まっている。
 勿論、全てではないし、一冊のファイルに収まり切る程、
彼女達は容易く、軽快に階段を登ってきた訳ではないが。


「……」


 時に挫折し、苦悩し、涙を流した時もあった。
 すれ違いも、衝突も、危機も無かったとは言えない。


 だが、それがあったからからこそ、今の彼女達があるのではないか。


「……」


 何の壁にもぶつからず、ただ、決められたレールの上を走る。
 そこに、本人の意志は存在せず、強引に道を歩ませていく。
 ……昔の私は、そういった面があったかも知れない。
 かつて、私の元を離れていってしまった彼女達は、それを嫌ったのだろう。


「……」


 椅子に、深く座り直す。
 そして、もう一冊のファイルに、手を伸ばす。
 タイトルは『第二期、シンデレラプロジェクト』。
 表紙を開き、中のプロフィールを順に見ていく。


「……」


 今度は、決して手を離さないと、心に誓う。
 見つけて、見失い……そして、また探し出した、シンデレラ達の手を。


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