鬼姫「わたしの愛は美しいでしょう?」
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44: ◆IULkuZ.Noal.[saga]
2017/10/29(日) 21:54:48.47 ID:hGr+6DsHO

屍鬼姫「わたしも、そうなれるかしら」

側近「ええ、なれますとも」

屍鬼姫「お母様のように、なる」


少女は物語りを聞くたび、そう決意する。


屍鬼姫「わたしも、お父様のような素敵な男性と出逢えるかしら」

側近「屍鬼姫様がそう望むのなら」

屍鬼姫「…………」


少女は父に想いを馳せる。母のような『女』をどうやって虜にしたのだろうと。

元は人間だったと聞く、それが屍の王と呼ばれる存在にまでなった。

それはそれは、とても素敵な男性なのだろう。 少女は、父に逢いたくなった。

母しか見たことのない父の姿が見たかった。母だけが知る父を知りたかった。


屍鬼姫「この世界に、お父様のような人間はいるの? わたしに見合う者が……」

側近「ええ、きっとおられるでしょう。姫様がそう望むのなら、必ずや現れるはずです」

屍鬼姫「……そうね。そうよね。だって、世界はわたしの為にあるのだから」


少女は立ち上がり、ふっと消えた。

己に見合う、たった一人の男を手に入れる為に。父を手に入れた母のように。

母と父のような……

『理想的』な夫婦になりたいと願いながら。




ーー少女は、母に似ていた。




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