30: ◆IULkuZ.Noal.[saga]
2017/10/29(日) 21:17:44.93 ID:hGr+6DsHO
勇者「な、何故だ!何故通じない!!」
確かに発想は面白いけれど、その程度でわたしを殺せると思っていたのかしら。
救いようのない生き物ね。
薄っぺらい希望なんてものより、確かに存在しているものが勝っただけよ。
何千万の人間が命を捧げたのなら、わたしを倒せたかもしれないわね。
勇者「……何をした」
鬼姫「何もしていないわ」
鬼姫「これは愛。何千何万の希望に、わたしの愛が勝った。それだけよ」
勇者「そんな馬鹿なことがッ!?」
鬼姫「なんて汚い声……弾けなさい」
どんな醜男でも、弾ける時は美しい。
それにしても、彼以外の生き物って、わたしを苛立たせるのが上手いわね。
でも、少し嬉しいわ。何千万人もの弱者が託した『希望』。
それを、わたしの『愛』が打ち砕いたのだから。
わたしがどれだけ彼を愛しているのか、それが証明されたのだもの。
鬼姫「……あら、狼だなんて珍しい」
少しうっとりとしていて、視線に気付かなかった。 もしかしたら、ずっと見ていたのかしら。
あの刺すような視線、彼に良く似ている。
ふと近付こうとした時、わたしの魔力を察知したのか、狼は何処かへと消えてしまった。
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