女戦士「死に場所を探している」ぼく「はあ…」
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11: ◆QKyDtVSKJoDf[saga]
2017/10/29(日) 16:47:33.06 ID:c9/bqZoV0
ぼく「というわけで、気分を紛らわせるために自慢の大浴場にやってきたのだった」

ぼく「大浴場なんていうと大げさだけど、それでも人間二人が入って十分に足を伸ばせるほどの広さがあるのだ」

ぼく「体にいい色んな薬草もお湯に浮かべてあるし、その泉質は有名温泉地にも引けをとらない自信がある」

ぼく「……お姉ちゃんと洗いっこしてたのが懐かしい」

ぼく「……お姉ちゃん……くすん…」

女戦士「なんだなんだ。姉が恋しいのか。よし、それじゃ私がお姉ちゃんの代わりをしてやろう」

ぼく「うわあ、何入ってきてんですか。やめて脱がないで、出てって、脱ぐなぁ」

女戦士「なんだ顔を真っ赤にして。照れる必要なんてないぞ?」

ぼく「いいから出てっ、て…」

ぼく(思わずぼくは言葉を失ってしまった)

ぼく(女戦士さんは鍛えられて非常に均整の取れたプロポーションをしていて、見かたによっては確かに姉の体よりも美しいとさえ言えた)

ぼく(だけど、ぼくの目を引いたのはそこではなくて……女戦士さんの体には、無数の傷跡があったのだ)

ぼく(特に……お腹にある大きな傷跡。そこにまるで大きな穴が開いていたかのように……肋骨から腰骨まで、大きく丸くそこだけ皮膚の色が違う)

女戦士「なんだ人の体をまじまじと見て。欲しいのか? この見事に均整の取れた体が」

ぼく「ち、違いますよ。な、なんでもないです。すいません」

女戦士「ああ、この傷跡か。醜いだろう? しかし私はこれを恥ずかしいとは思わない。むしろ、この傷跡は私の誇りだ」

女戦士「これは自分殺しの旅の中でついたものではない。はるか昔、私がまだ真っ当に人として生きていたころについた傷だ。魔王討伐の旅の中でついた傷なんだ」

ぼく(ぼくは、あまりの衝撃に声を出せないままでいた)

ぼく(女戦士さんの言葉を今まで疑っていたわけはないけど、女戦士さんのお腹の傷跡は彼女の話が真実であることを雄弁に物語っていた)

ぼく(だって、あんな大きさの傷、今の医術で治せるわけがない。今は空想の物語とされている、神話の時代の奇跡の魔法でもなければ……)

ぼく(ぼくの心臓がばくんばくんと大きく高鳴っている)

ぼく(彼女の協力が得られるなら、ぼくは―――――ぼくの目的に大きく近づくことが出来るかもしれない)




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