【艦これ】提督「クソッタレな世界を」長門「生き残るために抗おう」【安価スレ】
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195: ◆k5OCMHkyEc[saga]
2017/11/23(木) 01:09:33.37 ID:B23tW/AU0
「…色々と言いたいことはあるけど、これだけは絶対に言っておきたいんだ」

提督がそう言うと、深海棲艦全員が視線を向ける。

敵意は感じないが、威圧感にも似た何かを感じ、体が強張る。

それでも、はっきりと言わなければならない。

――彼女たちには、大きすぎる恩があるからな。

「…深海棲艦になった娘たちを受け入れてくれて、本当にありがとう」

ここ数日で何度頭を下げたか分からない。だからといって、支障があるわけではないのだが。

頭を下げる提督を見て、ベンチに座る深海棲艦はざわつく。

ヲ級もまた、心配そうに提督を見つめ、レ級は欠伸をして寝転がっている。

「如何なる理由があろうと、彼女らは沈んだ時から我らが同胞(はらから)だ」

「故に受け入れるのは道理。感謝されることではない」

淡々と返す中枢棲姫。その目に映るは、未だに頭を下げたままの提督。

「同胞…か…」

嘗て敵であったはずの艦娘を受け入れたのも、肉体が深海棲艦化して、近づいたからなのだろうか。

「…それともう一つ。俺なんかを助けてくれてありがとう」

提督がそう言うのと同時に、中枢棲姫は提督に近づいて、首を掴んで持ち上げる。

「ぐ…!?」

「…ちょっと。手荒なマネはしないでちょうだい」

中枢棲姫は、諫めようと歩み寄る南方棲戦姫を睨む。

「………」

その目を見て、南方棲戦姫はその場で静止する。

「…貴様には人としてのプライドは無いのか?一々自分を卑下して…。虫唾が走る」

「生きるため…に…仲間を…棄てた俺だ…。価値とか…あるわけが…がぁ…!」

首を掴む力が強くなる。中枢棲姫の目は怒りを孕んでいた。

「貴様のその物言いを、彼女らが望んでいるわけがないだろう!」

「ッ!?」

そして、中枢棲姫は手を離す。

「貴様は艦娘たちを罵倒されて笑っていられるか?怒るよな?」

「それと同じだ。貴様が卑下する度に、彼女らの行動を否定されているようなものだ」

「貴様の立場は以前とは違う。皆の想いを、覚悟を背負っている。そのことを自覚したのなら、言動には気を遣え」

「貴様が下に見られるということは、我々全員も見下されているのと同義なのだぞ」

「………」

それは、彼女なりの警告であり慰め。

多少厳しい言葉を投げかけないと、変わらないと思った故の厳しさだった。

「…なんでだろうな。正しいと思っていること全てが、裏目に出ている気がするよ…」

下手に出るというより、自分を貶めることで自分を守ってきた提督。

過去の経験が、提督の心に蓋をしている。

しかし、中枢棲姫の発破をきっかけに少しずつ、その蓋を開けようと提督の心はもがいていた。


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