18:名無しNIPPER[saga]
2017/10/26(木) 07:45:39.62 ID:jtprKQxnO
しほ「では私の話は手短に──みほ、貴方、こちらで大学に進学したいという話しは電話で聞きましたが、何のために大学へ行くの?」
梓(それって……手短にすませて、いい話のかなぁ……)
みほ「それを聞くために、わざわざ……?」
しほ「もし、これといって明確な目的が無いのなら、わざわざ関東の大学に行くことはありません。早慶レベルの大学を受験するというのなら話は別ですが。そうでないのなら──熊本に戻って黒森峰の大学に通いなさい。学費にしても仕送りにしても小さい金額ではないのですよ」
梓(……。詰問、というか通告みたい。先輩がお母さんを苦手に思うその気持ち、ちょっぴり分かった)
みほ「……」
梓(先輩……)
みほ「お母さん私……先生に、なりたいんです」
梓(──え?)
しほ「……、初耳ね。教職に就く事を考えているの?」
みほ「小学校か、中学校で先生になって──」
みほ「小さい子どもに、戦車道を教えれたら、って」
しほ「そうですか。……そう、そんな事を考えていたの」
梓(そうだったんだ……)
しほ「それは分かりました。では、以降のビジョンはどうなっているの」
みほ「ビ、ジョン?」
しほ「目標があるのならそれを実現するための計画があるのでしょう」
みほ「資格の本とか、先生になるためのガイドが書いてある本は、これ……買いました」
みほ「けど、まだ具体的なことはあんまり決められてなくて……まずは、大学受験をクリアしようって……」
しほ「つまり、具体的なプランはまだ決まっていないのね」
みほ「……はい」
梓(……、私の思い込みなのかもしれないけど、お母さんはそうは言いながらもやっぱり、ちょっとだけ、意外そうというか、びっくりそうというか──私がびっくりしてるから、そう見えるのかもしれないけど)
しほ「……。まぁ……本気で指導員になりたいというのなら、具体的な方法をリストアップしておきなさい」
みほ「はい。……反対は、しないんだね」
しほ「今更、反対はしません。ただ──」
みほ「?」
しほ「貴方がこの先も戦車道に関わっていくというのなら、一つだけ要求をしておきます」
みほ「なんですか」
しほ「もし、まほの身に何かが起こって、あの子が西住流を継げなくなった時」
みほ「……」
梓(……。)
しほ「その時はあなたに話しが回る。貴方は──それを拒むのか、受け入れるのか、態度をはっきりさせておいて頂戴。拒否するならそれはそれで結構です。貴方はすでに一度西住流を捨てている。まぁ養子をとるなり手段を考えます。けれど仮に少しでも受け入れるつもりがあるのなら──西住流を続けなさい。どちらにせよ今さら貴方と再び揉めて時間を浪費することだけはしたくありません」
みほ「……。はい」
しほ「そも指導員を目指すのであれば、西住の人間であるというステータスを活用するくらいのしたたかさを──……まぁ、いいわ、この話は、今日はもうやめておきましょう」
梓(あ……やっぱり、私、邪魔だったかなぁ……)
しほ「では、私は帰ります。──こういう話になるとは思っていなかった。貴方、長引いてしまって申し訳なかったわね」
梓「あ、いえ」
しほ「それと、丁度いいわ、貴方にこれを私ておきましょう」
梓「?」
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