【モバマスSS・北条加蓮】《今に至るまでの話》
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5: ◆hAKnaa5i0.[saga]
2017/10/17(火) 06:02:37.24 ID:829Qgmpy0
売店に1人の女の子が入ってきた。

自分と同い年くらいの子のようだった。

女の子は私服だった。

薄く化粧をしていた。

下手くそだと加蓮は思った。

女の子は健康そうだった。

家族の付き添いで来たのかもしれないと思った。

女の子と目が一瞬合った。

加蓮は彼女に背中を向けた。

購買を出た。

目端に涙が浮かんだ。

トイレの個室に逃げこんだ。

加蓮はしばらく泣いた。

母がいないことを祈って部屋に戻った。

母も父もいなかった。

ほっとした。

布団に潜り込んだ。

パンとヨーグルトの入った袋をトイレに忘れたことに気付いた。

加蓮は取りに戻らなかった。

次の日、トイレに寄ってみた。

ちょうど清掃の女性が袋を手に持っていた。

女性は袋を「燃えるゴミ」と書かれた大袋の中に放り込んだ。

加蓮は何も言わなかった。


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