【モバマスSS・北条加蓮】《今に至るまでの話》
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15: ◆hAKnaa5i0.[saga]
2017/10/17(火) 06:11:06.31 ID:829Qgmpy0
「こんにちは。少し時間いいかな?」

加蓮が街を歩いているとまた声をかけられた。

どこかで聞き覚えのある声だった。

どうでもよかった。

棘のある声を出した。

「何? ナンパならあっち行ってくれる?」

「いや、アイドルのスカウトなんだ。名刺を受け取ってもらえないかい?」

男は名刺を渡してきた。

【Free-schoolプロ】と書かれていた。

名前に見覚えはあった。

多くのアイドルを輩出している事務所だ。

加蓮は男の顔を見た。

男は微笑んでいた。

加蓮はむすっとしたまま名刺を突き返した。

「いらない。アイドルなんかなる気はないし」

「受け取るだけ受け取ってもらえないかな」

「この名刺が本物だって証拠はないでしょ。事務所の名前を語っちゃう詐欺なんて、イマドキいくらでもあるよ?」

「ホームページに名前が載ってる。確認してもらえば本物だってわかるよ」

「ごめん。確認する気にもなれない」

「ひと目見てピンときたんだ。キミはアイドルになるべきだ」

「なるべきとか勝手に決めないで。それにアンタの勘なんて信じられないし」

「大丈夫。俺の勘に狂いはないから」

男は自信満々に言った。

加蓮は自然と笑ってしまった。


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