38:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 03:22:50.97 ID:2O49l66V0
彼女は歓喜の声を上げた。
俺も上げていたと思う。
俺たちは確かに、伸ばせば届くところまで手繰り寄せてきた。
バチャバチャと暴れる黒い、大きな鯛を、二人で一緒にタモですくい上げた。
やりましたよ、と彼女は言った。俺は初めての衝撃に少し泣いていた。やったよ、やったな、と興奮したまま、黒鯛を持ち上げる。
五十センチを優に超える、大きな大きな黒鯛だった。
黒い鱗は鈍く太陽を反射していた。すっかり朝が顔を出している。眩しさに彼女は目を細める。俺は俺で、持ち上げていた腕が悲鳴を上げていた。
「重っ」
と、俺はまた悲鳴を上げる。肇はふふっと笑って、黒鯛を支えるように抱き上げた。
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