14:名無しNIPPER[saga]
2017/10/10(火) 02:48:01.54 ID:2O49l66V0
一目見ただけで、また夢を見た。
それは白昼夢と言っていいものかもしれなかったけれど、肇の黒い髪がライブのステージで揺れ、白いサイリウムの光に手を伸ばして歌う光景をはっきり見た。
素朴な雰囲気のあの子が、俺が作り出した舞台で、仕事で、欲を言えば楽曲で、白い花を大きく咲かせたように素敵に着飾る姿を、確かに見たのだ!
居ても立っても居られず一歩二歩と駆け出して、彼女に「持ち上がらないの?」と話かけた。
彼女はきゃっ、と驚いた声を上げ、その後おずおず「はい」と答えた。
俺は、俺は胸の高鳴りを抑えながら、あくまで親切な男だよ、というていで、キャリーバッグを持ち上げた。
彼女が持ち上げられなかったバッグは綿のように軽々持ち上がる。寮の玄関にたどり着くと彼女はぺこり頭を下げて、俺は羞恥により走りさった。
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