モバP「そろそろいきましょうか」瑞樹「そうね」
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21: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:54:18.76 ID:j2st42DJ0
翌朝。俺よりも早く起きた瑞樹さんは、起き出した俺の目を見て開口一番に
「ごめん、やっぱり死にたいわ」
22: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:55:01.85 ID:j2st42DJ0
事務所の息のかかった大病院の精神科に瑞樹さんを突っ込むことも考えた。
仕事と騙して連れてきたはいいものの、瑞樹さんは持ち前の演技力で精神科医の目を完璧に欺いてみせた。
「問題ないですね」
23: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:55:29.53 ID:j2st42DJ0
「何しようったって無駄よ。死ぬって決めたんだもの」
「どうしても考え直してくれないんですか」
「考え直さない。無駄よ、無駄」
24: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:56:06.27 ID:j2st42DJ0
その代わりに、ほぼ毎日のように瑞樹さんの家に詰めかけて、酒盛りをやるようになった。
毎朝毎朝、瑞樹さんの「死にたい」で、俺の希望はことごとく砕けた。
何回めの酒盛りだろうか。瑞樹さんの家について、違和感を覚える。
25: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:56:44.99 ID:j2st42DJ0
そこから瑞樹さんの家に行くたびに、瑞樹さんの思い出の品が続々と部屋から消えているのがわかった。
少しずつ、でも、確実にものがなくなっている。
「いやー、ものが少ないと掃除も楽なのよねー」
26: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:57:22.97 ID:j2st42DJ0
「遺される人のことも、少しは考えてくださいよ」
気持ちは声になって出ていた。
「死んだら関係なくなるのに、何言ってるのよ」
27: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:58:19.28 ID:j2st42DJ0
この日はめずらしく瑞樹さんと一回も会わない日だった。
ちょっと思うところがあって、俺の高校以来の友人と飲みの約束をした。
「久しぶりだな。ちょっと太ったか?」
28: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:58:53.14 ID:j2st42DJ0
たわいもない話から始まって、次第に酔いが回ってくると、あのことをぽろっと話してしまった。
「……担当がな、死にたがってる」
「おいおい」
29: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 02:59:24.27 ID:j2st42DJ0
翌朝、久々の自室での目覚めだ。
世界はまるで違うように見えた。
暗いような、煤けてるような。そういうように見えた。
30: ◆t6XRmXGL7/QM[sage saga]
2017/10/07(土) 03:00:06.79 ID:j2st42DJ0
事務所。瑞樹さんと1日ぶりに会う。
「おはよう、プロデューサーくん」
「おはようございます」
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