鷺沢文香「偽アッシェンプッテルの日記帳」
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14: ◆FVs4HrY/KQ
2017/10/06(金) 21:04:32.56 ID:7+Q2lD4p0
上体を起こし辺りを見渡すと、慌ただしく出勤や帰宅の準備をしている皆さん。
ベッドに残っていたのは私だけ。
Pさんと美波さんは、毛布の中のことが嘘だったかのようにいつも通り。他の先輩方ともいつも通り。

ふと、本当に夢だったのかもしれないという考えが浮かびました。
確認するため、毛布から出ようとする際にわざとベッドを這うように動き、二人が重なっていた付近で密かに鼻を鳴らしてみました。
交わりの残り香を確かに感じました。

やはり、ドッキリでも悪夢でもなかったのです。


こうして私の平穏な日常は終焉を迎えました。

寝ても覚めても考えるのはあの夜のこと。
お仕事の時も、レッスンの時もそのことで頭が一杯で、色んな人に迷惑をかけたかもしれません。

読書しているときもそれは変わらず、三日も経たないうちに本を開くことさえしなくなりました。

どうせ一ページたりとも進まないのですからね。仕方ありません。


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