乙倉悠貴「夢をひらく鍵」
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16: ◆twOYNJxMJs[saga]
2017/10/06(金) 00:46:43.78 ID:h7xFOhfZ0

「鍵が消えちゃった……」

鍵が消える演出を見てしまい、ゲームの中の出来事とは言え言葉が出なくなってしまいます。
そんな私を見た飛鳥さんと巴さんもさっきまでの喧騒が嘘だったかのように口を閉ざしてしまいました。

「どしたのみんな?」

重苦しい空気を察したのか紗南さんが心配そうな目でこちらを見つめます。

「この鍵は、その……消えるのかい?」

何とか場の雰囲気を取り繕うと飛鳥さんが紗南さんに質問をしました。

「そりゃあ、そういう役割だし……」

「役割ですか?」

「そうそう、どんなアイテムにだって回復に攻撃、宝箱を開けたりと役割があるからね」

「それが消えると分かっていてもかい?」

「うーん……たとえ消えてしまうとしても、そこまで一緒にいたことには変わりないんじゃないかな? 例えばRPGでも最初の武器がいつかは使われなくなるよね、でも最初の武器って一番思い入れができるものだと思うんだ」

「物は消えても記憶は残るということかのう」

「そうそう! そんな感じ! ……だからさ、いなくなってしまっても自分が覚えていることが大事だと思うんだよ」

覚えていることが大事、その言葉を聞いて考えさせられます。
大事なものを失くしてしまってもその思い出を大事にする……
今はまだ気持ちの整理がつきませんが、先に進むための光が見えた気がしました。

「覚えておくこと……紗南さん、ありがとうございますっ!」

「え、えぇ!? 何かお礼されること言った?」

「ああ、言ったとも」

「おう、言ったな」

突然お礼を言われて困惑する紗南さん、きょとんとする紗南さんを見て2人とも微笑んでいました。

「どういうことなのさー!」



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