【安価・コンマ】幻想的な世界を探険家が行くようです【オリジナル?】
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46: ◆nN35Xsj1FM[saga]
2017/10/01(日) 20:52:25.52 ID:pckQcl9G0
「凄い……」
幾本も空へ伸びている、天を摩するように聳える楼閣。
尽きることがないように思われる、街の光。
最近増えてきた、化石燃料を用いた自動車の群れ。
アルジールは、片田舎である故郷で見たこともないような色々のものを、港を降りてからギルドに来るまでに幾つも見て、ため息をついた。
余りに驚いて、疲れたのだ。
彼女の生まれは、連邦のあるエントロフィア大陸、その南部の村であった。
中央の掲げる文明再建のお題目からは遠く離れた、長閑な農村。
村全体で代々引き継ぐ遺物、機械を使って、広がる大地を耕し、牛や羊を育てる……そんな穏やかな暮らしをしていた。
そんな彼女にとって、魔都とまで呼ばれる大都市、メルシュテルの風景というのは、想像すら出来ないものだった。
しかし、そんな事にばかり、気を取られるわけには行かない。
何しろ、今日という日は、彼女にとって、何よりも大切な第一歩を踏み出す為の日だからだ。

ぱちり、と、アルジールは顔を叩く。そして、目の前の建物を見上げる。
それは、彼女が目指して歩いてきた目的地、探険家ギルドの入ったビルそのものであった。
(お姉ちゃん……見守っててね)
一言、胸の中でそう呟いて彼女は、街の様子に似つかわしくない、重厚な木の扉を押し開いた。


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