1:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:20:40.99 ID:/zESL2O40
ことり「いっけなーい! 遅刻遅刻〜!」
ことり(私、南ことり! 夢だったファッションデザイナーの道を日々邁進中の社会人!)
ことり(昨日夜中までお仕事してたのがたたって、今日はついつい寝坊しちゃったの! ことり、うっかり〜!)
ことり(やんやんっ遅れそうです! 急げ急げ〜!)
*
梨子「はっ……はっ……これ間に合うかな……っ」スマホポチー
梨子(私の名前は桜内梨子、音ノ木坂中学校に通っている美術部の二年生、なんで今走っているかというと……)
梨子(昨日遅くまで絵を描いていたせいで、朝目覚ましで起きれなくて授業に遅刻しそうだから。時間ぎりぎりだけど、頑張らないとっ)
梨子「あそこの曲がり角を……」ヒュッ
ことり「えっ」
梨子「えっ?」
キキィィィィィィーー!!
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2:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:21:20.99 ID:/zESL2O40
* * *
ことり「はあ……っ! はあ……っ!」
3:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:22:05.88 ID:/zESL2O40
理解できない。
いや、理解したくない。
4:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:22:41.54 ID:/zESL2O40
動悸が激しくなっていく。
ハンドルを握る手が、肩と繋ぐ腕が、全身が、かたかたと震える。
どくん、という心音が耳にまで伝わってくる。
5:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:23:16.85 ID:/zESL2O40
狼狽する私がハンドルを持つ手の位置を忙しなく変え、きょろきょろと辺りを見回す間に、空虚な時間が経過する。
一応、周囲に人が見当たらないことは確認できた。
元々この道は朝、人通りが少ないんだった。
6:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:23:48.18 ID:/zESL2O40
* * *
無機質なエンジン音が車内に響く。
7:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:24:19.75 ID:/zESL2O40
しかも、私は逃げた。あの場でもっとも取ってはならない、間違いなく最低最悪の選択肢。
「あなたは最低です!」と、幼馴染にひっぱたかれる程度では到底済まない、犯した過ちの大きさを自覚するたび、恐怖ばかりが大きくなっていく。
頬を伝う涙は、本当は私が流していいものではないんだろうけど。
8:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:25:16.37 ID:/zESL2O40
*
臙脂色の長い髪をしていた。
あんな姿でなかったら、きっととても綺麗な自慢の髪の毛なんだろうな。
9:名無しNIPPER
2017/10/01(日) 01:25:46.59 ID:/zESL2O40
思い浮かぶあの子の姿はさっきのもの。
目に焼き付いて離れないのは、痛々しく道路に倒れたあの姿。
まるで生気が感じられなかった。
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