17: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/09/30(土) 15:02:11.70 ID:r5zFZECu0
僕は再び歩を進めながら、彼女を見つめた。
身を包んでいる簡素な服はとうてい防寒具には見えなかったし、袖から覗く手は、寒気に晒されて真っ赤だった。
それでも控えめに笑顔を振りまく彼女は、紙きれのようなものを配っていた。
正確にいうなら、配っているのではなくて、配ろうとしているに過ぎなかった。
行進に参列する人間は誰もが下ばかりを見つめていて、受け取るどころか彼女の存在に気付こうとさえしない。
やがて、彼女の表情が克明に見て取れるほどの距離になる。
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