39: ◆hfr5rHILM6
2017/09/29(金) 15:17:27.56 ID:Rfh6XpPD0
「それにしても、みんな本当にお姉ちゃんたちに似てるね! 雪乃さんや結衣さんがまんま小さくなったみたいに見えるもん!」
その通りだからね。
「ぎくぅ」
口に出てんぞロリヶ浜。
「一色さんっていうのは私は会ったことないんだけど、お兄ちゃんなんか写真とか持ってないの?」
「えーっと……こんな感じだ」
適当にスマホのアルバムを漁ると、以前どっかで撮った写真が残っていたらしい。
とはいってもソロショットとかではない。有象無象の中に紛れて一色が映っている程度のものである。
「これかぁ……この人もかわいいなぁ。それにななはちゃんにそっくりだね」
「うん! いろはおねえちゃんかわいいよね!」
自作自演かよ。自分で言うな自分で。
暫く三幼女の顔を見回していた小町は、唐突に悪い笑みを浮かべてこちらを向いた。
この顔はあからさまに悪だくみをしているときの顔である。
火の粉は降りかかる前に逃げるに限る。俺はそそくさと席を立とうとした。
「ごちそうさまでし」
「で! お兄ちゃんはお姉ちゃんたちの中で誰が一番好きなのかな?」
やだこの子ったらいきなり爆弾ぶち込んできやがった。
恐る恐る三幼女の様子を伺ってみると、ロリはすはちらちらとこちらを見ていて、ロリヶ浜は顔を真っ赤にして俯き、ロリノ下は一人平然とお茶を飲んでいる……と思ったら中身空じゃねーかあれ。全然平然としてない。
そらいきなりコイバナなんてぶち込まれたらこんな気まずそうな反応になりますよね。
どうして女子と言うのはこうコイバナが好きなのだろうか。俺のようなボッチには触れようもない世界なので勘弁してください。
「だって将来お兄ちゃんがみんなのいとこになる可能性もあるもんね? みんなも気になるよね?」
「ああああたしはそんなに……」
「……どおなんですか? せんぱ……はちまんおにいちゃん」
「…………それなりに」
ちょっ、せめてロリノ下さんぐらいは反対してくれると思ってたんですけど。
四人の八つの瞳に射抜かれて、俺は席を立とうとした体勢のまま身動きが取れない。なんだこれ、バインドでもかかってんのか。
と、とりあえず何か言わなければ……。
「俺は……」
ごくり、という音が耳にうるさい。なんでこいつらこんなに興味津々なんですかね。
俺は瞳を逸らそうとして、その視線の先にあった彼女の顔をじっと見て、その名を呟くのだった。
「……俺は小町一筋だから」
……はい。すみません。ヘタレ谷です。チキンです。
でもこんなところでカミングアウトさせようとするのは勘弁してください。
というかお前らもそんな反応すんなよ、勘違いしそうになっちゃうだろ。
気のせいか俺が発言した直後から、暖かなはずだった部屋の温度が急激に下がってきたような気がする。
しばらくの沈黙ののち、俺の想い人たる小町は、心底冷え切ったような声で呟いた。
「……今のは小町的にポイント最悪だよ」
「さいあくです」
「それはないよひっきぃ」
「……はぁ」
お前ら演技しろよ。
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