八幡「雪ノ下たちが幼女になってた」
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170: ◆hfr5rHILM6
2017/10/04(水) 19:58:21.28 ID:4qDlJarH0
 後方から聞こえて来たその舌足らずの声に、俺は顔を引きつらせて顔を伏せた。

 いやもう見つかっているのだからその行為に全く意味がないことは分かってるんだけれども。

 脳内にはいろいろな疑問が浮かんでは消えていったけれども、つまるところ聞きたいことはただ一つ。

 なんでここにいるんだよ。

 ぺたぺたというかわいらしい足音とともに、先ほどの声の主は徐々に俺の席に近づいてくる。

 俺の孤高のボッチライフがもろくも崩れ去る瞬間はすぐそこまで迫っていた。

 朝からの魔王襲来で少し記憶が前後していたものの、彼女の頬にあった涙の痕を忘れたわけではない。

 そのケアを任せたはずのロリノ下さんはあえなく魔王に拉致されてしまった。

 ロリはすめ、何をやってたんだあいつは。

 そんな理由探しが頭の中をぐるぐる回って、いっそこの気配が全く別人で俺の勘違いだったらいいのになぁ、と半ば現実逃避をしていると、顔を伏せている俺の制服の右ひじの辺りがちょこん、と掴まれる感覚があった。

 現実は非情である。

 俺がゆっくりとそちらに振り向くと、瞳いっぱいに涙を貯めたロリヶ浜が、縋るような目でこちらを見つめていた。

「……おはよう」

 こういう時なんて言えばいいかわからないの。まあこの言葉のチョイスが間違っていることくらいはわかるけども。

 俺のその言葉を聞いたロリヶ浜さんは、ふぇ、という小さな声とともに、堰を切ったかのように瞳からぼろぼろと涙を零し、俺の胸元に飛びついてきた。

 どこにそんな跳躍力あったんだよ、と場違いな感想が頭に浮かぶ。

 胸中で嗚咽を漏らす泣き虫娘を、撫でるでもなく抱きしめるでもなく、茫然と座り込んでいると、周囲から好奇と奇異の視線が大量に降り注いでいることに気が付いてしまった。

 やめて! ボッチは大量の視線にさらされると死んでしまうか弱い生き物なんです! ボッチ虐待反対!

 これが葉山ならば、ヤツにつられた大量のギャラリーがこのコをあやしにかかるのだろうが、生憎俺にそんな人気はなく。戸塚も流石に心配そうにこちらを見つめるだけに留まっているし、川何とかさんはそわそわはしているものの俺の席に近づこうとはしない。

 葉山グループからは「ヒキタニくんまじっべー! っべーわ!」といううざったいヤジが飛んでくる。何がやべえんだよ。あとあーしさんの怪訝な視線が痛い。

 若干パニックに陥り、俺までちょっと泣きそうになりながら、どこへともなく視線を彷徨わせていると、二限の平塚先生がけだるげに教室に入ってくる。

 俺にはその瞬間だけ、かの先生が救いの女神に見えた。

「平塚先生……ちょっとお時間よろしいですか……」

 俺のSOSを聞いた平塚先生は、ちょっと泣きそうな顔で頷いた。俺も泣きたいよ。


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