8:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:43:45.70 ID:CC5AA7ZYO
でも、なにもかも嫌だったわけじゃない。
僕を家族として迎えてくれて、学校に通わせてくれた、人間の親もいたんだ。
僕はきっとその人たちのことが好きだった……よく思い出せないけれど、きっと。
9:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:45:03.18 ID:CC5AA7ZYO
君の両親はとても優れた人だった。
けれど、優れたと優しいとは、別の問題だった。
僕は優れた人ならなにをしてもいいとは思わない。
けれど君は……それが正しいかのように笑った。
10:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:46:42.87 ID:CC5AA7ZYO
けど、ぼくは本当に、きみの家族を傷つけたくはなかった。
どんなにきみから聞く話がひどい話でも、命を奪えば解決するなんて、思ってはいなかったんだよ。
なのに、どうしてだろう。
11:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:48:35.46 ID:CC5AA7ZYO
革命軍の動きが激しくなって、人間たちも、危機感を増して、ロボットと対話をすることにした。
まだ、このときはロボットも、人間を傷つけていなかった。
でも、人がいない場所をねらって、爆弾をしかけたり……あとは……とにかく悪いことをたくさんしていた。
12:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:49:57.63 ID:CC5AA7ZYO
ぼくは軍から逃げ出して、そのままきみに会いに行った。
なんども強制停止を繰り返されていたきみは、ぼくを覚えていたのか、どうかもわからなかったけど……。
きみにつかまった、ぼくは全てを話した。
13:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:51:21.56 ID:CC5AA7ZYO
ぼくは、今、自分がいる座標も分からないけど、そのあとのきみのことは、すこしだけ知ってる。
問題が収束したあと、ロボットは本来、人間に敵対するものではないと、訴えた技術者が多かった。
14:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:53:14.39 ID:CC5AA7ZYO
どうして、ぼくはこんなにつまらない大人になったのだろう。
きみは一度も人間が嫌いだなんて言わなかったのに、ぼくは自分ありきで、きみの心を分かった気になっていた。
どうして……。
15:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:54:51.46 ID:CC5AA7ZYO
名前がない星に、壊れかけて辿り着いたロボットが壊れた。
それはこの世界に存在しない出来事だった。
それから数十年、時は流れる。
16:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:57:19.55 ID:CC5AA7ZYO
私に望まれていることは、いつも一つだけだ。
言うことを聞く子がいい子だと。
それがこの製造年数になっても……おっと、この年になっても続いているのは、笑ってしまう。
17:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 14:58:55.99 ID:CC5AA7ZYO
「長官、報告があります」
「どうしました?」
18:オータ ◆aTPuZgTcsQ[sage saga]
2017/09/27(水) 15:00:45.92 ID:CC5AA7ZYO
六才の頃、あなたと初めて話したときのことを覚えている。
とは言っても、私の記憶は曖昧になってしまっているから、正しいかどうか分からないけれど。
確か、あのロボット学校では、私達だけが同じ学年だった。
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