橘ありす「あなたの瞳には」
1- 20
9:名無しNIPPER
2017/09/26(火) 08:49:11.93 ID:SjBa6GBgO

「そう、でしたか。ありすちゃんは…とてもお仕事熱心ですね。その熱意は、ぜひ見習いたいと思います。」

そう言って、鷺沢さんは静かに微笑んだ。あぁ、この人は全てお見通しなのかもしれない。すべて分かったうえで、わたしの矛盾を突かずにいてくれる。こういうところが、大人ということなのかも。
けど、わたしは大人じゃないから、鷺沢さんの瞳の奥を知りたくなってしまう。

「鷺沢さんなら、どう答えますか?」

一瞬、瞳がきらりと光った気がする。何か感情を動かすことができたのかもしれないーー

「わたしが最も尊敬する人は、プロデューサーさんです。」

即答だった。重ねてわたしは質問する。

「それは…それは、雑誌のインタビューでも…お仕事で聞かれてもそう答えるのですか」
「えぇ、そのつもりで、いま答えました。」
「そう、ですか…」

わたしはそう答えられなかった。誰よりも尊敬しているのに、声に出せなかった。こんなこと、今まで一度だってなかった。

「お隣、いいですか」
「どうぞ」

鷺沢さんは滑らかな動作でわたしの横に腰かける。そして、わたしの瞳をじっと見つめ、静かに微笑んだあと、

「ありすちゃんは、雑誌のインタビューではなく、この誰もいない事務所の片隅で、私からいま同じ質問をされたら、なんと答えますか。」

と質問した。


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
25Res/19.88 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 書[5] 板[3] 1-[1] l20




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice