橘ありす「あなたの瞳には」
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8:名無しNIPPER
2017/09/26(火) 08:48:13.43 ID:SjBa6GBgO

***

わたしが、尊敬する人。
先日受けた雑誌のインタビューで、記者からその質問を受けたとき、頭が真っ白になってしまい答えることができなかった。咄嗟に出たのは「織田信長」だったが、わたしは別に織田信長を尊敬はしていない。ただ、前日にたまたま授業で歴史に少しだけ触れたから頭に浮かんだだけだ。
なぜ、頭が真っ白になったのか、それは自分でも分かっている。それは、わたしが尊敬するのは…

「ありすちゃん」

事務所のソファでタブレットをぼうっと眺めていると、背後から声をかけられた。

「鷺沢さん。おはようございます。」
「はい。おはようございます、ありすちゃん」

分厚い本を抱えた鷺沢さんが、透き通るような青い瞳で私を見つめている。その瞳で見つめられたら、世の男性はきっとドキドキしてしまうのだろう。

「なにか、調べものですか?」

そう聞かれて、ふと自分のタブレットに目を落とす。インターネットで検索をかけた結果が表示されたままになっていた。『小学生 尊敬する人』の検索結果がずらりと列挙されている。あぁ、そうだった。わたしは…

「はい、先日インタビューをうけたとき、尊敬する人を聞かれたのですが、上手く答えられなくて…それで、世の小学生はどんな人を尊敬する人として挙げているのか、調べていました。次に同じ質問をされたとき、ちゃんと答えたいので。」

そう、それは間違いではない。けれど、間違っている。きっと指摘されるだろう…そう思いながら再びあの青い瞳を見つめる。


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