42: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/26(火) 00:35:24.58 ID:+cGpxNUR0
好みが渋いと言われる。
誉められているのか、小馬鹿にされているのか、判然としない。
どちらでもないのかも知れない。
只の反射で言っている場合もあるのだ。
43: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/26(火) 00:37:52.79 ID:+cGpxNUR0
詰まる所、渋いとは何なのか。
良いのか悪いのか。
言葉としては誉め言葉の類なのであろうが、時折、どうにも誉められた気がしない事がある。
それは、渋いという言葉に微かな侮りの響きを感じ取っているからか。
44: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/26(火) 00:40:36.37 ID:+cGpxNUR0
衝突するから響き、響くから無視できなくなる。
だから近頃は、渋いと言われるだけで条件反射のように内心うんざりしてしまう。
相手に一切の悪意が無いと分かっていても、私の意志に衝突するのだ。
私の意志。
45: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/26(火) 00:43:15.02 ID:+cGpxNUR0
言い方は悪くなるが、私から感情表現を奪ったのは父である。
と言っても、虐待などの理由ではない。
父は、私が片親である事を私以上に気に掛け、何不自由無く育ててくれた。
本当に、何不自由無く。
46: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/26(火) 00:46:11.86 ID:+cGpxNUR0
しかし何時までもその様な生活を続けられる筈も無い。
まあその気になれば、進学せず家に籠る人生もあったのかも知れない。
少なくとも父にはその気があった様に思う。
だから私は父の頭を冷やす目的もあって、父の手を離れ学園艦に乗った。
47: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/26(火) 00:49:28.44 ID:+cGpxNUR0
まあ、それはそれである。
育ててくれた事には勿論感謝をしているが、父のお陰で現在に至るまで、私の感情表現は希薄なままだ。
もっと、主張する必要はあるかも知れない。
私の好みは渋くなんかないよ、普通だよ、と。
48: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/26(火) 00:51:42.86 ID:+cGpxNUR0
そんな友人達は、何やら喧々諤々と話し合っている。
作戦会議の様相であるが、要するに、如何すれば良いか分からないという様な意味の事を、口々に叫んでいるのだ。
山郷と大野の砲手二人も、遣り場の無い戦意を持て余している。
弾を込める装填手が暇なのだ。
49: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/26(火) 00:54:10.15 ID:+cGpxNUR0
如何すれば良いか分からない状況。
ここで私も同じ事を言えば、満場一致で如何すれば良いか分からなくなってしまう。
それは酷く、厭だ。
という事は、私が主張をする絶好の機会なのかも知れない。
50: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/26(火) 00:57:05.60 ID:+cGpxNUR0
蝶が飛んでいた。
曲がりなりにも戦場の只中で暢気なものである。
しかしそれが活路に繋がった。
蝶の飛ぶ先に、嗚呼。
51: ◆nvIvS/Qwrg[saga]
2017/09/26(火) 00:58:31.64 ID:+cGpxNUR0
以上となります
お付き合い、ありがとうございました
52:名無しNIPPER[sage]
2017/09/26(火) 03:27:07.09 ID:xEQIXWX4o
乙ー
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