298: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/07/09(月) 06:37:38.46 ID:2oTLp5eX0
【犬も食わない】
テンケテンケテンケテンケテンケテンケテン……。
と、実にお気楽な出囃子に乗って二人の少女はステージに現れた。
最上静香と北沢志保。
765プロライブ劇場が育成中の候補生は、
無愛想な作り笑いを浮かべてマイクの前に並び立つ。
今回は単なるネタ合わせなのでどちらも普段使っている練習着をその身にまとっていた。
軽い会釈をするように背を曲げた静香がよく通る声で名乗りを上げる。
「静香です」
「志保です」
「二人合わせてしずしずです」
ペコリ、と客席に向かって挨拶をするがその目は暗く淀んでいる。表情筋は壊死している。
髪の毛の艶もサッパリなく、陸に上がった魚のように死んだ顔をした二人だった。
胸の前で腕を水平に構え、志保が隣に立った相方を打つ。
「――って、なんでやねん」
それはツッコミと呼ぶにはあまりにも鈍い、覇気の感じられない台詞だった。
ぶっきらぼうに放たれた水平チョップが静香の脇腹に当てられる。
「ぐっ!?」
堪らず睨み返す静香。
が、志保は眼付きの悪い半眼を正すことなく元の位置まで腕を引くと。
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