209: ◆Xz5sQ/W/66[sage saga]
2018/03/18(日) 05:55:03.51 ID:kkq5ItiRo
<略>
百合子、百合子、落ち着いて。プロデューサーさんが来たら自然な感じでいつも通り。
ああ、でも、少しは恥ずかしいから視線はちょっと下に伏せて。
「お、おはようございますプロデューサーさん!」
「ああ、百合子か。おはよう」
ふぅ! いつものように頼れる声……。でも待って! 今回は妄想にすぐ飛ばない。
そう、今の私がするべきはお願い事。
今日は私の誕生日なんだから、そのお祝いに軽ーい感じで、そう軽く「今日は私、誕生日なのでお祝いにハグ、とか……!」
なんてなんて言っちゃったりしちゃったりお願いしますって言ってみたり!
「ハグ? ああ、そんなものいつでもお安いご用さ」
「ええ!? ……へっ? ふひゃあ!!?」
でもなんで!? どーしてこんなことになるの!!
嬉しさの余りに跳ね上げた顔。視界に入るあの人の顔。
それから、プロデューサーさんの腰に抱き着いている麗花さんと、
彼に肩車されてる環ちゃんと、まるで恋人同士みたいに二人で腕を組んでる翼……。
お目当てのプロデューサーさんプラス三人分の視線を浴び、私は思わず固まった。
そして、ついさっきのお願いを打ち消すために口を開く。
「……なっ、なんでもありません。聞き流してくださ――」
だけどプロデューサーさんは空いてる両手をわきわきさせ、「試してみるか」って口調でこう言ったの。
「……一応、前なら空いてるけど。お姫様抱っこになるんだけど」
「うっ、ぐぅ……。それは魅力……!」
結局、抱っこしてもらった。
待ちわびていた一年に一度の特別な日は、こんな気恥ずかしいハプニングから始まったというワケだ。
……今思い出しても赤面物の、まさに若気の至りでした。
―七尾百合子の自伝より紹介―
340Res/273.21 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20