18: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/25(月) 23:43:56.78 ID:53XBMd0+0
「美也、美也か……。美也だったか」
「はい、宮尾の美也ですよ〜。ところでプロデューサーさん、聞いてください〜」
両手を胸の前で合わせ、美也がプロデューサーに向けて言う。
「さっき、雪歩さんの入れたお茶に茶柱が立っていたんです〜」
「ほぅ、そいつは縁起が良かったな」
「そうなんですよ〜。それに、立った茶柱は二本でして〜」
「なんと二本もっ!? そいつは凄い!」
「プロデューサーさんもそう思います? きっと縁起の良さも二倍ですね〜♪」
そうして美也はプロデューサーのデスクに置いたばかりの湯呑を指さすと。
「しかもですね〜、実は、このお茶がその二倍茶なんですよ〜?」
「はあ……。そいつは実に縁起もおよろしいことで」
だが、湯呑の中を覗き込んだプロデューサーは不思議なことに気がついた。
確かに美也が言う通り、注がれたお茶には茶柱が立っていたのだが……。
「……でもこれ、立ってる茶柱一本じゃん」
「むー……やっぱり、すぐに気づかれてしまいましたか〜。流石はプロデューサーさん、素晴らしいほどの慧眼の――」
「いやいやいやいや美也さんや? 二倍茶だって言われてさ、茶柱が一つだけだったら誰だって気がつきますでしょうに……」
プロデューサーがそう言うと、難しそうな顔だった美也の表情がへにゃっとした笑顔に早変わり。
そうして彼女は両手の指を合わせながら、「実はですね」と恥ずかしそうに説明しだす。
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