154: ◆d0sNTotDiE[saga]
2017/09/24(日) 22:05:35.99 ID:cZ8X2IcD0
あれは肌に涼しい風が吹き付けて、
秋の到来を告げていたある日のこと。
私は都市のお偉いさんに頼まれて、城塞都市付近の森に発生した謎の「穴」について調査をしていました。
女学者「……これは」
老学者「ふむ、古文書の通りですなぁ」
女学者「―――次元の裂け目。異世界とこちらの世界を繋ぐ空間の割れ目、ですか」
老学者「……数百年に一度だけ、あちらの世界とこちらの世界が急接近する日が来る。その時この地に裂け目が現れると」
老学者「言い伝えには聞いていましたが、いやはや、まさか生きているうちにお目にかかれるとは。長生きはするものですなぁ」
女学者「感傷に浸っている場合では無いですよ。これが発する特殊な魔力は辺りの魔物全てに干渉し、凶暴化させる恐れがあります」
女学者「……毎年ここを通る魔物の大軍に影響が出なければいいのですが」
老学者「こればかりはワシら学者も神に祈るしか無いのう。今の人類にはこの時空の裂け目を閉じさせる力は確実にない。時の流れに任せて勝手に閉じてもらうほかないとはなぁ」
女学者「仕方のないことです。探査魔法を裂け目にかけたある学者が精神に異常をきたしたという報告も上がっていますし……」
女学者「ひとまずは都市に戻り、伝承に残る時空の裂け目そのもので間違いなかったと報告するとしましょう」
老学者「そうじゃな……む?」
女学者「老学者さん……?」
一緒にいた学者さんの視線の先。
そこには―――
女義賊「……」
―――飢えた狼のような少女が立っていました。
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