25: ◆8ozqV8dCI2[saga]
2017/09/18(月) 22:57:22.05 ID:n8F8dLyB0
「よかった。今日は誰もいないみたいですね」
事前に調べた通り、今日は定休日で誰もいない。
ベテランの従業員しか知らない裏技で鍵を開けて、菜々は中に入る。
目に入るのは、メイドカフェ内にあるライブステージ。
思い出されるのは、いつかアイドルになるためとここで歌い続けた日々。
どうせ証拠は消えるのだからと、ウサミン星人の名前を出して続けたアイドル活動。
それが今になってこんなに大切になるなんて。
積み重ねた時間が、願いが叶った瞬間が、心に浮かぶ。
「もっと歌いたかったなあ……」
ぽつり、と零れた想いは。
「もっと踊りたかったし、もっとCDを出して……」
ぽつぽつと、雨音のように連なって。
「もっと綺麗な写真を撮ってもらって、もっとお仕事貰って……」
ついにずっと声には出さずにいた本音を引き出した。
「アイドルやめたくないよぉ……」
「だったらやめるな」
「えっ!?」
菜々は自分の嘆きに反応が返ってくるとは思っておらず、驚きとともに振り返った。
視線の先に立っていたのは、汗だくで怒った顔をしてる男性。
菜々をアイドルにしてくれた男性だった。
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