七尾百合子「プリムラの花に、言の葉を乗せて」
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23: ◆TDuorh6/aM[saga]
2017/09/29(金) 18:17:50.99 ID:mEfCliWxO




 嫌な予感がして、私は走って事務所に向かいました。

 あのプリムラに願った日に、私とプロデューサーさんは結ばれて。
 私の言葉が届かなくなった日に、あのプリムラの葉は枯れていて。
 あのプリムラに願った夜に、プロデューサーさんが謝ってくれて。
 じゃあ、あのプリムラの芽が枯れていたのは……?

 そんなはずは無い、あって良いはずがない。
 そんな魔法みたいな事が、現実に起こるはずがない。
 そう自分に言い聞かせても、不安は全く拭えずに。
 あり得ない事、馬鹿げた事だと笑い飛ばせばいいのに。

 走る私の心は、どんどん苦しくなって。

「おはようございます!」

 事務所のドアを勢いよく開けて、全力で挨拶を叫びます。

「あら、おはよう百合子ちゃん。プロデューサーさん、百合子ちゃん来ましたよ」

 小鳥さんが、また暖かく出迎えてくれました。
 話があるって言ってましたよね?私、席開けましょうか?
 そう話す小鳥さんと。
 聞こえないけど会話しているであろうプロデューサーさんの姿を探して……

 ……嘘、だよね……?

「……あの、小鳥さん」

「どうしたの?百合子ちゃん」





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