七尾百合子「プリムラの花に、言の葉を乗せて」
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18: ◆TDuorh6/aM[saga]
2017/09/29(金) 18:14:55.88 ID:mEfCliWxO


「ふぅー……」

 レッスンをしている間は、有る程度集中できて良かったです。
 ハードなレッスンは他のことを考える余裕なんてくれませんから。
 ふと思い出しちゃう一瞬も、全力で頭から叩き出して。
 終わった頃には、私はクタクタになっていました。

 他のみんなは、私に気遣って励ましの言葉を掛けてくれました。
 でも、そんな優しさすら心が痛くて。
 だって、他のみんなは普通にプロデューサーさんとお話し出来てるんですから。
 あの人に、名前を呼んで貰えてるんですから。

 こんな状態で『私! プロデューサーさんに告白されたんです!』なんて言える筈もなくて。
 言ったところで、悲しさは増すだけだから。
 そんな事を声に出しても、そんなの……

 もどかしさと苦しさを抱えたまま、私はレッスンルームを後にしました。

 外の寒さは厳しく、手袋をつけていなかった手は一瞬で悴んでしまいました。
 でも、そんな事なんて頭に入らないくらい。
 今の私にとって、全ての事がどうでもよくなってしまってて。
 冷たい夜に一人、トボトボと道を歩きました。



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