9:名無しNIPPER[saga]
2017/09/17(日) 00:14:13.19 ID:WGoPFWnk0
しかし、そんなアタシの覚悟は、Pさんの言葉によって数秒もしないうちに木っ端微塵に砕け散ることとなった。
「まあそれは置いといてだな、俺がとった休みって言うのは明日なんだけど、1日付き合ってくれないか?今回のお詫びも兼ねてさ」
その言葉を聞いてアタシの頭は真っ白になった。Pさんと二人で丸一日過ごすなんて、まるで夢みたいだ。でも恥ずかしがり屋なアタシはつい反対のことを言ってしまう。
「そ…そんな一日付き合うとかなんだよ!明日はPさんが頑張ってわざわざとった休みなんだろ?それだったらもともとしようと思ってたことをしたほうがいいだろ」
違う!ほんとはこんなこと言いたいんじゃない!もしPさんと一緒にいれるならうれしいって言いたいんだ!でも、Pさんはそんなアタシのことはお見通しとばかりににっこり笑っていった。
「奈緒と一緒に過ごす休日以上の日なんてないよ。だからもし付き合ってくれたら嬉しいな」
ぼんっ、と顔が爆発する音が聞こえたような気がした。…Pさんはよくもこんな恥ずかしいことを言えるな。アタシだったらこんなの恥ずかしくて絶対無理だ。でもまあ、Pさんにここまで言われたら付き合うしかないよな。
「し…仕方ねえな。そこまで言うんだったら特別に付き合ってやるよ。…特別だからな?」
「ほんとか!?いやあ、嬉しいよ、奈緒。それじゃあ、明日はよろしくな」
と言って、Pさんはそのまま部屋を出て行った。部屋にはアタシ一人だけだ。Pさんと二人…考えるだけで胸がどきどきしてくる。
「へへっ…楽しみだな…」
そうつぶやいたその瞬間、Pさんが部屋の外からひょこっと頭をのぞかせた。
「そういやなんで奈緒はわざわざ事務所まで来たんだ?今日と明日はオフだぞ」
「な、部屋に入るときはノックぐらいしろよ、Pさん!」
心臓が止まるかと思った。まさか今の聞かれてはないよな…。たぶん。
「あーすまんすまん。それで、なんでだ?」
まさかPさんに会いたかったとかPさんががいなくなる夢をみて不安になったとかなんて言えるわけがない。
「なんでもいいだろ!もう帰るからよ!」
そういうとアタシはベッドから立ち上がって、そばにおいてあった荷物を持って部屋の外に出た。そこでPさんにもう一度なにか言われる前に、アタシは先手を打って言った。
「今日は…その…か、看病してくれてありがとな。それと明日も…楽しみにしてるからな!」
そう言い放ってPさんの返答を待たずに急いで事務所を飛び出した。心臓がバクバク言ってるし、体が熱い。でも、アタシはPさんにちゃんと気持ちを素直に言えたことに、この上ない満足を感じていた。
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