百合子「愚者の私に出来ること」
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3:名無しNIPPER[saga sage]
2017/09/15(金) 18:46:46.27 ID:GkhDt2Oq0
――まあ、私もその一部なのだけど。

どうにも収まりの悪い胸元のリボンタイを正しながら、この酩酊にも似た盛り上がりに水を差さないようにそっと溜息を一つ。こんな時期に、しかも真っ昼間からファミレスにたむろしている制服の集団と言えば、何をしているかなんて答えは火を見るより明らかだ。

部活の送別会。

まあ、実際は名前が違ったり事情も色々違うのだろうけど、雑にひとくくりにしてしまえば大方そんなものだろう。

この時期になればどこの部活も三年生は現役を退いていて、それでも部活のことが忘れられない一部が一足先に迎えた春休みを利用して、遊びに来る感覚で顔を出すのが通例みたいなものだ。とりわけ運動部なんかはそれが顕著で、女バドは未だに部活に来ている三年生がいるのだと、どこかで小耳に挟んだことがある。

――じゃあ、私が籍を置いている美術部がどうかと聞かれると。

「先輩たちはもう受験終わったんですよね?」
「そもそも受かってるかわかんないよね」
「えー、だめじゃないですか、それじゃ」

 何が面白かったのか、そんな三年生と二年生のやりとりにどっ、と笑いが巻き起こる。

 その後、三年生は各々第一志望として受けていた高校の名前をつらつらと挙げていったけれど、誰もどれも似たようなラインナップで、面白みがあるかと言われれば正直なところ首をひねらざるを得ない。

 私の隣の席に座っている咲洲さんというらしい同級生が、この辺りでよく知られている模試の資料に書かれた偏差値一覧のど真ん中にある高校の名前を挙げる。

 ああ。

 こういう流れか、と、わかってはいたけどいざ自分の所にお鉢が回ってくれば、憂鬱にならざるを得ないわけで。



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