速水奏「裸で重なる一時」
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10:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/13(水) 21:42:37.32 ID:t50tah/9O
「……それは……そんなの」

「ないのかしら」

「ない、というか」

「……あるの?」

「いや、まあ……こう……ない、けども……」


 言いにくそうに淀みつつ、でも最後まで聞かせてもらえた。

 望んでた答え。知ってはいたけれど、それでも確かな肯定か欲しかった答え。


「ふふ。……まあ、そうよね。プロデューサーさんったら、もういっそ面白くなるくらいに女の人に慣れていないんだもの」


 分かっていたこと。けれど聞けて嬉しくて。だから「普段私がからかった時も、楽しい反応してくれるしね」なんて言葉を加えつつ、胸を昂らせたまま撫で下ろして微笑む声を口に出す。


「…………それは」


 すると、不意にぎゅうっと。

 私を抱く腕の力が強くなる。それまでそっと触れ合う程度だった肩の上の顔が押し付いてくる。混乱と戸惑いの中へ意識を置かれてぼんやりとぼやけていたプロデューサーさんの声の調子が、はっきりと芯を持つ。

 私へ注がれるプロデューサーさんが、不意にとても強くなる。


「…………それは?」

「……」

「それは、なんなのかしら」


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