12: ◆Xz5sQ/W/66[saga]
2017/09/12(火) 06:48:56.74 ID:UqQkvsyl0
「ひ、ひぇぇぇ……!?」
「とりあえず八百万は用意したの。それから財布に四十一万」
ニヤリ、薄ら笑う親友の姿が人の形をした魔物に見える。
春香は鳥肌の立った腕を摩り、震える自身の両肩を力一杯抱きしめた。
背筋に走る悪寒によって、ガチガチと歯の根が噛み合わない。
本来ならば目にして嬉しいハズの現ナマが、
時と場合によっては恐怖の対象となり得ることをこの時少女は知ったのだった。
「で、でも千早ちゃん。これだけあるならスマホの一台二台ぐらい……」
「その出費で高槻さんを取りこぼしでもしたらどうするのっ!?」
「ひぃっ!?」
「もう以前のような後悔は……。『シャルウィダンス?』高槻さんを取り逃した時に味わった屈辱は……!!」
「……ん?」
わなわなと震える千早の呟きに、春香がそっと眉を寄せる。
「……シャルウィダンス、高槻さん?」
「ええそうよ。忘れもしない2015年、グリマスの、十月に行われた高槻さん単独上位報酬イベ!」
「待って、待ってよ?」
「ああ! あの頃の私はまだまだ駆け出しアイドルで、お給料だって雀の涙。
並み居る廃課金勢を羨望の眼差しで見つめながら、惨めに過ごした十一日!」
「グリマスって、千早ちゃん。私たちの出てるもう一つのゲームの名前だよね?」
「そうよ? ……春香ったら、今の今まで忘れてたの?」
「いや、いやいやいや……。待って、ホントに一回待ってくれない?」
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