5:名無しNIPPER
2017/09/10(日) 23:03:51.52 ID:ZNhdxt+t0
『な、奈緒ちゃんでしたか。誰かと思いましたよ……』
振り返った彼女の姿は一言でいうと、地味。多分人ごみに紛れるためだったりするんやろな。
まあ、漫画の世界みたいに電信柱に身をひそめる奴なんて目立ってしょうがないやろうし、あんまり意味もない気がするけどな。
亜利沙は自分の胸に手をやって息を吐く。分かりやすいほどに安心しているリアクションだった。
だけど、私は安心して欲しくなかった。
だって、あれやろ? 亜利沙がこんなことをしていた理由は。
『ずばり、紬やろ?』
『えっ? な、なんのことやらですね。ではありさはこの辺で……』
『待てぃ』
脇を抜けて逃げようとする犯人……いやいや、私の恋人の肩を優しくつかんで逃がさないようにする。
ひぃぃぃと情けない顔をして嫌々振り向く亜利沙。気のせいかいつもよりも潤んだ瞳が、私をぞくぞくさせ――――ちゃうねん。今はそういう話をしたいんやなくて。
18Res/13.98 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20