27: ◆97Mk9WqE8w[sage saga]
2017/09/07(木) 21:26:38.16 ID:qeoTwk+V0
バスの天井の上から、幼児ほどもあろうかという影が跳び、二人が声をあげる間もなく、添乗員の手からまゆのプレゼントを奪い去った。
「キキーッ!」
ひどく機嫌の良さそうな上ずった声で鳴くそれは、都内のこんなところには全く似つかわしくない猿であった。
「え、え〜……」
まゆの口から信じられないといった嘆息が漏れる。
添乗員も「げっ!? なんで、こんなところに猿が!?」とうろたえる。
「け、警察に連絡を」
詰め所へと駆け出す添乗員の後ろで、少女の声が響く。
「返してっ! それは、プロデューサーのものです!」
添乗員が振り返ったときには、既にまゆは猿に向かって詰め寄っていた。
「あ、危ないですよ!」
添乗員の忠告も聞こえない様子で、まゆはどんどん猿との距離を詰める。
「さぁ」まゆが手を伸ばした。
「ウキ……」さすがの猿も後ずさる。
「……ウキャー!」
次の瞬間には、まゆの伸ばした手を無視して、猿はプレゼントと共にどこかへ走り去っていった。
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