22:名無しNIPPER[sage saga]
2017/09/07(木) 01:37:20.93 ID:+EtVRVLso
櫻子の声を聴いて、何かが決壊したように、私の目からも自然と涙が溢れた。
静かに嗚咽する私の喉に、櫻子がキスをする。
重なり合った身体全体から伝わってくる櫻子の体温が、私の中の想いを溶かしていった。
もう、我慢しなくていいんだ。
もう、本気で想いを伝えていいんだ。
あまりにも長く一緒にいすぎて、いつしか私たちは、本気で本音を交わすことを恐れるようになっていた。密接なようでいて壊れやすいこの関係に傷がつくことを恐れていた。つまらない意地の張り合いでしか、お互いの距離を守ることができなくなっていた。
最初から、想いはずっと同じだったんだ。
櫻子の情熱的な抱擁を受け、心からの愛を感じて、つうと頬を滴が伝う。泣いている子供を落ち着かせるかのように、櫻子は私の背中をさすった。私は櫻子の肩口に顔をうずめて呼吸を落ち着かせ、胸いっぱいに彼女の匂いを吸い込んで、全身で幸せを感じた。
よしよしと頭を撫でられながら、櫻子の名を小さく呼び続けていたことはなんとなく覚えている。私は彼女の優しさに包まれながら深い眠りに落ちていった。結局櫻子もベッドには戻らず、私が敷いた布団の方で、抱き合ったまま寝てしまった。
朝になって、いつまでも起きて来ない妹に痺れを切らした撫子さんが突撃してくるまで、私たちは完全に熟睡していた。飛び起きた時間はもう遅刻ギリギリ。撫子さんと花子ちゃんにシラけた目で見つめられながら、大慌てで学校の支度をした。
今日も世界はからっと暑くて、空は雲ひとつない快晴だった。
櫻子「急がなきゃ!」
向日葵「ええ」
昨日の夜からずっと絡めっぱなしだった手を改めて繋ぎ直し、私たちは一学期最後の通常授業日となる学校へと向かった。
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