荒木比奈「なぜ私がプロデューサーを避けるのか」
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21: ◆U.8lOt6xMsuG[sage saga]
2017/09/01(金) 00:18:03.15 ID:2OqBKnfl0

◆◇◆

比奈に頼み事してからしばらくして。口の中には、さっきのみかんゼリーの味が少しだけ残っていた。

してほしいことを聞いた後、比奈は今タオルと着替えを取りに行っている。こうも至れり尽くせりだとなんだか申し訳ない。今度何か埋め合わせをしよう。

…何だろう。俺は何か大切なことを見落としている気がする。取り返しのつかないことをしてしまったような、でもそれに気がついていないような。

頭が働かない。何だろう、何だろうと痛む頭を働かせるが思い出せない。体調不良の時はどうも、こうなってしまっていけない。

頭をひねっていると、気づかないうちに視界がどんどん暗くなって、狭くなってきた。こくりこくりと頭を降り始める。さっきまで寝ていたと言うのに、睡魔が襲いかかってきた。

どうしよう、このままだと寝てしまう。せっかく比奈が来てくれているというのに。せめて比奈が着替えを持ってきてくれるまでは耐えなければ。この感触の悪いTシャツを脱がなければならないし、なにより比奈にお礼を言いたい。

でこの冷却シートを押さえつけるように触れる。ふらり、ふらり、こくり、こくりと頭を振りながら睡魔と戦う。

耐えろ俺、がんばれ俺、がんばれがんばれ。まだだ、まだ。眠るわけにはいかな




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