92:名無しNIPPER[saga]
2017/09/01(金) 00:29:10.15 ID:gRyzT9wx0
人気が爆発してから早数ヶ月、もちろん疲れはあったのだが、都の心は2つの感情で支配されていた。
まず1つ、焦燥感。
「あと3つ……」
薬の残りが少なくなってしまっているのだ。
ここまで都が出世できたのがこの薬のおかげであることは間違いない。
それだけに、この薬がなくなってしまったらどうなってしまうのか。
何度もあの店に通っているのだが、同じ薬が姿を現すことはなかった。
しかし、その焦燥感よりも強く、都の心には、大きな、大きな、罪悪感が生まれていた。
"自分はみんなを騙している"という感覚が、ジワジワと都の心を蝕んでいる。
事務所だけならまだいい。しかし、ファンやスタッフまで、みんなが自分を名探偵だと信じて疑わない。
"探偵になりたかった"都は、奇しくも"探偵であることを望まれる"という状況に苦しんでいた。
この日も雑誌にラジオにテレビに大忙し。
1つの事件を解決して事務所に戻る頃には、すっかり暗くなっていた。
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