90:名無しNIPPER[saga]
2017/09/01(金) 00:27:44.91 ID:gRyzT9wx0
(次が最後の事件ですか……)
最後の事件まで番組が進むと、スタジオに現れたのは少女。見るに年齢は都より少し下くらいだろうか。
自己紹介を済ませた少女は、どうやらこの事件の遺族らしい。
少女が事件の概要を語り始める。他の事件と同様に聞いていた都は、その事件が紐解かれるにつれて、自分が聞き入っていることに気がつかなかった。
聞けばその少女は、まだ小学校低学年のころ、父、母、兄、妹の家族全員を、押し入った強盗に殺されてしまったという。
寝静まった深夜に犯行がなされたが、偶然にも友人宅に泊まっていた少女は助かったということだった。
その日家に帰り見た、血濡れた寝室と無残な家族の姿を、少女は今でも夢に見るという。
涙ながらに語る少女。歳の近い都の目には、涙と、怒りの色が浮かんでいた。
(どうしてあの子がこんなに悲しまなければいけないんでしょうか? 何をしたというのでしょうか)
(どうして犯人は……のうのうと逃げ暮らしているのでしょうか?)
都の指先が、ポケットの中の薬に触れる。
不自然とか、注目を浴びるとか、そんなことは問題ではない。
目の前に困っている人がいて、それを解決する力があるのに、使わないなんて。
(探偵として、ありえません!)
カクン
「謎が解けました」
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