314: ◆/tT5hkyI4g[saga]
2017/10/04(水) 21:04:54.00 ID:Q2Ts9Z3PO
カロリーとメイトになりきれなかったのか、結局おやつにたらふく菓子を摘んでしまった午後三時過ぎ。
「こんちわーす……」
その挨拶とともにオレンジ色の髪と緑ジャージに眼鏡……もといオタク系アイドルの荒木比奈がひょっこり顔を出す。
「おう、比奈か。今日は春菜と一緒に◯◯さんとこで打ち合わせだっけか」
「そうっす。その事でプロデューサーさんに相談があるんすけど……」
「相談?なんだ?」
「今度の春菜ちゃんとのステージなんすけど、眼鏡で出たいなーって……」
「んー……?お前は前までの自分を抜け出したくて眼鏡を取ったんじゃないのか?」
「いやーそうなんすけど、たまにはありのままの自分をさらけ出してみるのも良いんじゃないかなって」
「比奈」
「はい?」
「そんな生半可なスタンスで自分を変えるなんて言ってたのか?違うだろ?お前のコンタクトは変化の象徴だ。そのままでいい」
「で、でも、春菜ちゃんも眼鏡があった方がいいって」
「春菜には俺から話をつける。とにかく、意志を捻じ曲げるような言動には気をつけて欲しい」
「は、はいっす。じゃあお仕事行ってきます……」
バタン
……ふぅ、我ながらかなり険しく接してしまった。けど、彼女はステージでは眼鏡を取り、それ以外では普段通りの眼鏡。それが彼女の求めた彼女。それが荒木比奈であるべきなんだ。
ブッブーー
……今日はちょっとスピーカーの調子が悪いのかよく雑音が鳴る。クイズ番組の不正解時に流れるSEに似ていると思ったが、まぁ単なるノイズだろう。今日の俺はミスをしていない。
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