249:名無しNIPPER[saga]
2017/09/26(火) 23:17:34.89 ID:1qpUpdjR0
◆◆◆
ある日のこと、楓は事務所で不自然に汚れた白いシャツを見つけた。
首筋に、赤いシミが付いている。
血の跡だった。
「あ、それは洗物に出すんで、放っておいていいですよ」
後ろには、真新しいシャツに身を包んだ彼女のプロデューサーが立っていた。
顔には、傷があった。
「プロデューサー……それは」
「はは、気にしないでください」
笑ってごまかしてはいるが、楓にも心当たりはあった。
――『高垣楓』の自由を奪うプロダクションは、悪だ。
世間一般で流布している噂である。
時々、事務所のスタッフに対する非難を認めた手紙が届くことがある。
それどころか、面と向かって悪だと断じられたこともある。
数日前、事務所の代表が、亡者のような顔で通路を歩いていた。
プロデューサーも、大分疲れているようだった。
344Res/309.22 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
書[5]
板[3] 1-[1] l20