209:名無しNIPPER[saga]
2017/09/20(水) 23:17:56.47 ID:yNCJI72m0
普段は曲がらない道を曲がって、大きめの公園を横切ったんだ。
そしたら、ちっちゃい女の子が、並木道で泣いてたの!
えーん、えーんって。
「ねえ、どうしたの?」
そりゃあ無視はできませんよ! なんてったって未央ちゃんは正義の味方だもんね!
女の子は泣いたまま、真上を指差して。
「?」
よくわかんないけど、とりあえず私も見上げたら。
「あー、なるほどなるほど。風船が木に引っかかっちゃったんだね?」
赤い風船が、木の枝に行く手を遮られながら、ちょっと風で揺れてたんだ。
「もう大丈夫! お姉さんが取ってあげよう!」
声を聞いた女の子が泣き止み、一瞬こっちを見たのを確認してから、私は風船に手を伸ばす。
よかった。女の子には遥か遠い上空だけど、私には背伸びすれば届く場所。
これがもっと高かったら、早苗さんみたいに木登りしなきゃだったね。
「はいっ。もう離すなよ〜?」
「うんっ! ありがと!」
うんうん、気持ちのよい返事ではないか!
あ、でも、ちょっと時間を使っちゃった。
女の子に手を振って、カッコよく、駅への道を足早に……
「うわーん!!!」
進もうと思ったところで、後ろからまた女の子の声が。
びっくりして振り向いたら、また泣いてる!
両手で目を覆って……
両手?
えっ、だって風船……
そう思って見上げたら、青い空に赤い丸が。
どんどんちっちゃくなって、見えなくなっちゃった。
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