184: ◆nIlbTpWdJI[sage]
2017/09/18(月) 20:38:37.76 ID:HUNlZsa0o
どうしようかな、と迷っていると窓のすぐそばにある緑色が目に入ってきました。
白い壁を背に、おひさまの暖かい光りを精一杯浴びようと葉っぱを一生懸命伸ばした名前の知らない観葉植物です。
細長くて、ひらべったい葉っぱは生き生きと緑色を放っています。
葉っぱを支える茎や幹は、大きい葉っぱの影に隠れながらも、弱弱しさや寂しさを感じない力強さを感じます。
影の薄い青と、茎の薄い緑が混ざったような、不思議な色です。
根を張っているであろう、丸く太った、大きなくまさんみたいに可愛い植木鉢は、根っこと茎と葉っぱを支えてくれる、優しい土の色をしています。
そして、葉っぱの先にある窓の外は、透き通るような青空が広がっていました。
私は絵の具が詰まった箱から、緑と茶と青を持てるだけ引っ張り出して、パレットに乗せていきます。
絵を描き始めてからは一瞬でした。何も無かった真っ白のスケッチブックに瑞々しくて力強い、生きている一本の木が生まれました。
葉っぱが伸びた先にある窓の外は、まるで自分で描いたとは思えないほど、透き通る青色で、本当におひさまの暖かさを感じるような気がしてくるくらいでした。
私は完成した絵を眺めながら目の前にある絵の具の素晴らしさに心を奪われていました。
もっと描きたい。何か描きたい。この絵の世界に入り込めるほど……
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