【トトリのアトリエ】ミミ「こんなことはこれっきりにしてよね」
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2:名無しNIPPER[saga]
2017/08/27(日) 13:16:35.95 ID:SC7wIBIj0
 毎度毎度、こんなことは二度としたくない、勘弁して欲しい。そう思っているのに。私を庇って右足を怪我した彼女を背負わないわけにはいかない。薬はとっくに底を尽きている。

 ただでさえトトリを背負っては歩みが遅くなるのだ。それなのにトトリの身体は私の心臓の鼓動を早め、呼吸を荒くさせる。彼女は私に余計な息を吐かせ、消耗させようとしているのだ。そうに決まっている。

 私がトトリを背負うとき彼女は決まって、私の髪に鼻を擦り付けてじゃれてくる。そんな甘えたな犬みたいなこと、よくも出来るものだ。そんなことをされると体が固まるのよ。

「それ、やめなさいって言ってるでしょ」
「えぇ〜…やめないよ。ミミちゃんの髪、さらさらしていい匂いがするもん。勝手なこと言わないでよ」

 知っている。こうやって窘めるほどに、トトリはぐりぐりと強く頭を押し付ける。本当に、トトリは可愛らしい無垢な顔立ちをしているけれど、案外嫌な人間なのだ。思ったことをすぐ口にして、無自覚に口が悪く無神経で、意地が悪くて。私の恥を、弱みを忘れない。どころか、それを突いて楽しんでいる。

 これがトトリだ、こいつは、こんな奴だ。本当に憎たらしい。

「ミミちゃんはやらかいね。よ〜しよ〜し」
「はっ倒すわよ。あんた、後で覚えてなさい」
「うん、覚えておくね。ミミちゃんは優しいからそんなことしないもんね」

 トトリの声は心底楽しげだ。こいつは私をよく知っている。本当に、憎たらしい。




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