北の果てで
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6:名無しNIPPER[saga]
2017/08/27(日) 02:04:47.30 ID:S5rcsZpr0
「ココアを飲むかい?少しは体が暖まるはずだ」

「ああ、頼む」

Верныйが部屋を出てココアを作りに行ってくれた。それにしても幌筵がここまで酷く寒いとは思わなかった。確かにユーラシア大陸からくる風は強く冷たいが、それに加えて吹雪まで起きるともう凍え死んでしまう。何故こんなところに泊地を作ったのか分からないが、恐らく戦術的なものがあるんだろう。そんな考え事をしていたら、Верныйドアを開けてココアを持ってきてくれた。

「ほら、少し熱いかもしれない」

「ありがとう」

差し出されたココアを縁を持って受けとる。さっきまで外に居たせいか手袋越しでも異様にココアが熱い。手放すことはなかったが、1度机に置く他なかった。

「ふふっ、熱かったみたいだね。それを飲み終わったら君の事を聞かせてほしい」

「そういえば俺はまだ名前も何も言ってなかったな。ちょっと待ってくれ」

出来るだけ早くココアを飲もうと口をつけるが、あまりの熱さにあまり飲めない、口をつけては放してを繰り返して飲んでいると、飲み干すのに五分もかかってしまった。その間、隣からはクスクスと笑い声が聞こえてきていた。

「ふぅ、やっと飲めた」

「ふふっ、だいぶ苦戦していたね」

「すまない、まさかあそこまで熱いとは思わなかった。それじゃ」

軍服の襟や裾を正し、軍帽を深く被る。

「私は新たにこの幌筵泊地に着任した、『明戸 玲二』少佐だ。前までは舞鶴で補佐をしていたが、こちらに飛ばされることになった」

「へぇ、左遷かな?」

「考えたくない事を言わないでくれ…」


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