2: ◆K5gei8GTyk[saga]
2017/08/24(木) 22:06:09.86 ID:fLR/Lwcb0
八月も暮れだというのに、路地には不快なほどの熱気が立ち込めている。
夕方に降った雨が湿らせた裏通りを歩く彼女は、その後ろ姿だけでも絵になる雰囲気を備えている。
うんざりとする暑気の中でさえ、むしろ涼やかな感があった。
相当なうわばみだということを知ってはいる。
しかし、ついさっきまで居酒屋であれだけ飲んでいたにも関わらず、酔った気配をまるで見せていないことには驚かされた。
たとえそれが、毎度のこととはいえ。
なんとはなしに、彼女の歩調に合わさって長い黒髪が滑らかに揺れているのを眺めていると、急に彼女が立ち止まった。右に倣っておれも足を止める。
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